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有名ファンドマネジャーがニュース番組で、「伸びない企業の社長」には共通点がある、という経験則を披露していました。曰く、「社長室の豪華さと企業の成長性は反比例する」「有名人との交際が派手な社長の企業には投資しないほうがよい」「社長が自伝本を出版したら要注意」とのこと。ここで問題です。あなたが中〜長期の株式投資で高パフォーマンスを狙う場合、投資する企業のトップに関する情報はどの程度役に立つものでしょうか。

正解は・・・
(3)創業者トップの企業などは、トップに関する情報が投資判断の参考になるともいえるが、財閥系企業や金融機関など組織力の強いところに関しては、あなたがつかめるトップの情報で、投資の成否が決まることなど望めない。押し並べてトップに関する情報は参考程度にしておくべきだ

投資は総合判断です。どんなにファンダメンタルズ的に素晴らしい会社でも、投資のタイミングを間違えれば、パフォーマンスに結びつくことはありません。そんな中で、企業トップに関する情報は、企業によって重要度は違っても、多くの情報の中の1つでしかありません。


正解は(3)の、「創業者トップの企業などは、トップに関する情報が投資判断の参考になるともいえるが、財閥系企業や金融機関など組織力の強いところに関しては、あなたがつかめるトップの情報で、投資の成否が決まることなど望めない。押し並べてトップに関する情報は参考程度にしておくべきだ」となります。


創業者トップが、その企業の業績をどれだけ左右するかの好例は、おそらくファーストリテイリングでしょう。創業者のもとで急成長した企業が、一時、退任していた時には踊り場を迎え、復帰後には再び勢いを取り戻しました。同社は柳井正社長が26.7%の株式を保有しています。その意味では、トップに関する情報は投資のパフォーマンスを左右するともいえますが、どういった情報がパフォーマンスにつながるかは不明です。


一方、トップが変わったからといって、金融機関の業績が大きく変わることはほとんどないと思います。金融機関の業績を大きく左右するのは、景気などの環境を除けば、むしろ、規制などの政治的リスクだといえます。


他の選択肢を見てみましょう。


(1)公表されていない不祥事を掴んでいるなど特別の事情があるなら別だが、基本的にトップの人柄や経歴、行動様式の把握が投資判断に役立つことはない。投資をする、しないの判断は株価の値動きや業績によって決定すべきである


例えば、何らかの事件が起きて、その初期対応の拙さが大きな損失に結びついたような事例があるとします。


この時、トップの判断が間違っていたのなら、あらかじめトップの人柄や経歴、行動様式を把握しておくことは、今後の展開を予測する上で役立つといえます。


また、その事件が速やかにトップの耳に届いていなかったとすれば、風通しの悪い企業風土だということで、これも、あらかじめトップの人柄や経歴、行動様式を把握しておくことは、今後の展開を予測する上で役立つといえるのです。


物事が順調に流れている時には、誰がトップでもそれなりにうまく行くものです。ところが、大きな問題に直面した時などは、トップの資質が企業の命運を決めることがあります。つまり、企業のトップに関する情報が、投資判断にまったく役立たないと言い切ることはできないのです。


(2)トップの性格や考え方は企業の命運を大きく左右する。自分がトップと直接面会して得た「この人物は信頼できるorできない」といった感触や、トップに近い筋から入手した信頼できる情報は投資判断に大いに役立つ。ただしメディアを通して簡単に得られるような公開情報は役に立たない


トップに立つような人は、創業者、サラリーマン社長を問わず、人を巻き込む能力を持った人です。企業トップは、いわば「人たらしのプロ」達ですから、直接面接して得た感触や、トップに近い筋からの情報は、多くの場合、あなたを魅了してしまいます。


ところが、やり手社長として、マスコミに取り上げられるような人でも、しばしばその企業を破綻させています。時には、法を犯してもいます。


公開情報ですら、その真偽や意味するところを見抜くのが大変なのですから、あなたが個人的に得た情報を見極めるのは至難の技です。


また、あなたが企業トップの人柄に魅了され、「深情け」するまでに至ったなら、もはや、あなたに投資家としての冷静な判断は望めません。その企業と興亡を共にするのみとなるのです。


企業トップに関する情報は、重要な情報だといえますが、多くの重要な情報のうちの1つでしかありません。また、あなたがすべての重要な情報を完璧に把握していたとしても、それがパフォーマンスに結びつくという保証はないのです。


収益を上げるという観点からは、投資でより重要なのは、タイミング(と、リスク管理)なのです。


正解は(3)の、「創業者トップの企業などは、トップに関する情報が投資判断の参考になるともいえるが、財閥系企業や金融機関など組織力の強いところに関しては、あなたがつかめるトップの情報で、投資の成否が決まることなど望めない。押し並べてトップに関する情報は参考程度にしておくべきだ」となります。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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