あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[その他の問題]

個人投資家がテクニカル分析を武器に日本株のデイトレードやスイングトレードで高いリターンを狙う場合に、投資対象とする銘柄の数は何個程度が妥当でしょうか?

正解は2つ・・・
(2)1〜数銘柄では、思い通りの位置で仕掛けることができずに、無理な売買を仕掛けてしまう。かといって個人が大量の銘柄を追い掛けるのは無謀。値動きの異なるセクターに分散しつつ数十銘柄以内を対象とするのが妥当である
(3)ある銘柄が低迷している時、別の銘柄は上昇の兆しを見せているかもしれない。チャート重視のトレードでは監視銘柄の数の多さも実力のうち。理想の投資対象は「全銘柄」、現実にはそれを理解した上で出来るだけ多くの銘柄をチェックしたいものである

相場では、アンテナを高くして、多くの情報に耳を傾けろと言われます。世の中には、いろいろな投資物件があり、実際にあなたが投資できるものも多いのです。株式投資にも同じことが言えて、自分が見ている銘柄だけが相場ではありません。正解は、あなたのおかれた状況によって、(2)か(3)、もしくは、その両方となります。


2010年2月15日に、OECDのグリア事務総長は、2010年の世界的な景気回復は中国やインドの成長がけん引、従来予想よりも強くなるとの見方を示し、世界経済の成長は4─4.5%で推移、OECD加盟国は2─2.5%程度の伸びとなる見込みだと述べました。


経済の成長率や企業収益と、株価の推移が必ずしも一致するわけではありませんが、買われると株価は上昇します。つまり、中国やインドの株が良さそうだと、実際に買う人がいて、それが株式の発行額を上回れば、株価は上がるのです。


もっとも、中国やインドは随分前から注目されていて、買われ過ぎた分は売られ、売られ過ぎると買われています。重要なのは、いつ投資するかのタイミングなのですが、それはよく見ていないと分かりません。テクニカル分析は、タイミングをはかるためのツールですから、その意味で、あなたのアプローチは間違ってはいないのです。


日本株の個々の銘柄でも同様です。


相場で、最も効率的な運用とは、谷越えを待って買い、山越えを待って売ることです。株式に限らず、どんな商品でも、トレンドによる上げ下げの率よりも、価格の揺らぎによる上げ下げの率の方が大きいので、高いリターンを望むなら、価格の揺らぎに焦点を当てる必要があるのです。


価格の揺らぎを100%取るには、波動の谷で買って、山で売ることです。ところが、そういった谷や山は、後になってから分かるもので、その時点では下げ局面、上げ局面でしかありません。そこをピンポイントで捉えることができるとすれば、谷ではそこから絶対に下がらないように、大量に買い続ける。山ではそれ以上上がらないように、大量に売り続けるしかありません。ところが、そういったことを、個人投資家に望むことはできません。


そこで、谷越えが確認できたと思った時に買い、山越えが確認できたと思えたなら売ることで、最も効率的な運用を目指すことになります。


この時、1〜数銘柄しか観察していなければ、そういった絶妙のタイミングに遭遇する確率が低くなります。その場合に、往々にして行ってしまうのが、中途半端なところで手を出すことです。


例えば、谷山の幅が100%だとして、確認のために10%を捨てれば、残る80%が期待収益の幅として残ります。ここで思惑違いで逆に向かうと、10%逆に行った時点で、底が割れたり、天井が抜けたりします。つまり、自分の間違いに気付いて、損切りなどのリスク管理もしやすくなるのです。


ところが、谷山のど真ん中、50%のところで、方向だけを信じて売り買いすると、思惑通りに取れて、最大50%です。恐いのは逆に行った時で、前の谷底までは、下げればますます絶好の買い場に見え、前の山頂までは、上げればますます絶好の売り場に見えるのです。そして、下抜けや上抜けした時には、50%以上の損失を抱えてしまうのです。


高いリターンを狙うなら、波動を取りに行くことが必要です。波動を取るには、谷越えを待って買い、山越えを待って売るように努める必要があります。その為には、絶好のタイミングにある商品、銘柄を探すことが重要となるのです。また、そういった節目にある銘柄は、クリティカルであるが故に、リスク管理も容易なのです。


私が開発したエスチャート( http://s-dealing.com/ )は、出来高急増銘柄を探しだすことにより、谷や山など、相場の節目にある銘柄をピックアップすることができます。


あなたがこういったツールに親しんでいたなら、今回の問題の正解は、(3)の「ある銘柄が低迷している時、別の銘柄は上昇の兆しを見せているかもしれない。チャート重視のトレードでは監視銘柄の数の多さも実力のうち。理想の投資対象は『全銘柄』、現実にはそれを理解した上で出来るだけ多くの銘柄をチェックしたいものである」でいいでしょう。


またエスチャートでは、同じ商品、同じ銘柄でも、出来高急増時点を押さえることで、その商品、銘柄が節目に来た時を捉えることができるようになります。テクニカル指標だけを頼りに、知らない銘柄に次から次に手を出すより、馴染みのある銘柄の節目節目で手を出す方が、居心地がいい場合も多いのです。


そのようなケースなら、今回の問題の正解は、(2)の「1〜数銘柄では、思い通りの位置で仕掛けることができずに、無理な売買を仕掛けてしまう。かといって個人が大量の銘柄を把握するのも無謀。値動きの異なるセクターに分散しつつ数十銘柄以内を対象とするのが妥当である」でいいのです。


一時に保有するのは、1〜数銘柄までもいいのですが、観察銘柄は最低でも数十は必要でしょう。


選択肢(1)の「投資対象とするのは1〜数銘柄まで。あれもこれもと手を出すのではなく、自分と相性の良い銘柄に絞って深く分析し、ここぞという局面でのみエントリーするのが良い。チャートが悪いときは『休むも相場』である」は、かえって危険だといえるのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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