今週の解答
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1989年12月29日に3万8915円の史上最高値を記録した日経平均株価は、バブル崩壊後の長い下落トレンドを経て、2003年4月28日に7607円をつけました。ところがそれが当面の底で、2005年にBOX圏を上抜けた株価は、2007年7月9日には1万8261円まで反発します。その後、米金融危機などの影響により、2009年3月10日には再び7054円まで下落し、バブル後最安値を更新したのは周知のとおりです。ここで問題。個人投資家にとって、「株式投資をいつ始めるか」という運の要素はどれくらい重要でしょうか?
(2)たまたま株式投資を始めたのがいつだったか、という運に左右される面も確かにあるが、投資家にとって何より重要なのは自己の投資技術である。どんな相場でも勝つ者は勝ち、負ける者は負ける。運はその結果を増幅させるスパイス程度の要素である
よく「運も実力のうち」などと言われますが、より正確には、「運を活かすのが実力」だと言えるでしょう。投資技術がなければ、運の味方も一時限りです。正解は(2)の、「たまたま株式投資を始めたのがいつだったか、という運に左右される面も確かにあるが、投資家にとって何より重要なのは自己の投資技術である。どんな相場でも勝つ者は勝ち、負ける者は負ける。運はその結果を増幅させるスパイス程度の要素である」となります。
カードゲームや麻雀などに親しんでいる人はご存じでしょう。運で何回かは勝つことができても、それだけで長続きする人など皆無だといえます。安定して勝つためには、ゲームを良く理解すること、そして勝つための技術を磨くことが必要です。そして、技術があれば、運悪く勝てないことが続いても、大負けすることはありません。
カードゲームや麻雀では、カードや牌の、種類や総数を知らずしては戦略が立てられません。そこで初めて、場に何枚捨てられた、山にどれだけ残っている、相手の手の内は、、、などと類推することができるのです。
次に来るのが、カードや牌の組み合わせや点数を理解することです。そういったベースになる知識があってこそ、自分に有利の戦略を立てたり、相手の心理を読んだり、場の風を読んだりすることの意味がでてくるのです。
株式投資も同様で、まずは株価がどうして動くのかを知り、そこから導かれる最も効率的な運用、リスク管理などを見極め、自分が何をしたいかを絞り込んで、最適な手法を選択します。
例えば、市場価格がどういった要因で動くかについては、私はタペストリー第1、第2理論で説明しています。
・タペストリー第1理論(Tapestry Theory #1)
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10295633030.html
・タペストリー第2理論(Tapestry Theory #2)
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10300171680.html
タペストリー第1理論は、「市場価格はポジションの量と保有期間により変動する」というもの。
タペストリー第2理論は、「量の制限は緩いが、時間制限に厳しい仮需の売買がボラティリティをつくり、量の制限は厳しいが、時間制限には余裕のある実需の売買がトレンドをつくる」というもの。
仮需は、チャート上では縦方向の力、一方の実需は横方向の力で、相場はこの方向の異なった2つの力のバランスで動いていきます。
タペストリーとは壁飾りなどに使われる飾り絨毯ですが、相場は仮需を縦糸に、実需を横糸に編み上げるタペストリーだというのが、私がこの理論につけた名前の由来です。
ここから導き出されるものは、上記のゲームで例えるなら、捨てカードや捨て牌から、残りの山や、手の内を読むことに似ています。
例えば、FXなどでよく言われる、当局の意向です。
ドル高を望むと言う発言でドルが上げた場合に、当局の介入や、実需のドル買いが見られないとすれば(ほとんどの場合がそうですが)、ドルを買い上げたのは、投機的な仮需、すなわち、大量に買い上げはするが、長くは持たない(持てない)連中ですから、必ず時間の問題で売り戻しが来ます。
そこで、あなたの行うことは、ドル高のピークを見極めて、売ることです。そして、ドルが下げ始めたなら、ほとんど誰も、要人の発言など覚えていないものです。この時、ピークを見極めるのには、テクニカル分析が役立つのです。
何らかの材料で株式が売り込まれた時も同様です。長期の機関投資家などや、長く保有していた個人投資家が売る時と、目先の材料で空売り残が積み上がる時の違いを区別して判断しなければなりません。
空売り残が積み上がる場合は、捨てカードや捨て牌に多くが出てきていて、残りの打つ手が狭まってきているのに似ています。
一方、実需の売りは、新たに1セットのカードや牌を投入されたようなもので、まったく別の対応が迫られるのです。
上記のように、一応、相場を読み尽くしたつもりになっても、実際の価格が思い通りに行くとは限りません。価格の変動状況により、常に対応を変えねばならないのです。
そのことを述べたのがプライスアクション理論で、上記の2つと合わせて、タペストリー・プライスアクション理論と名付けています。
・プライスアクション理論(Price Action Theory)
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10324046540.html
ゲームを知りつくしたプロのギャンブラーでも、運など関係がないなどという人はいないと思います。多くは神頼みもすることでしょう。プロのディーラーやファンドマネージャーの多くも、神社に詣でたり、ジンクスを守ったりしています。
とはいえ、「運を活かす」ことができるのは、一定レベルの知識や技術があってこそのものです。
正解は(2)の、「たまたま株式投資を始めたのがいつだったか、という運に左右される面も確かにあるが、投資家にとって何より重要なのは自己の投資技術である。どんな相場でも勝つ者は勝ち、負ける者は負ける。運はその結果を増幅させるスパイス程度の要素である」となります。
見事正解だったあなたは・・・
油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。
書籍
プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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