あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[資金管理に関する問題]

株の信用取引には、「レバレッジ効果」と、「空売りができる」という2つのメリットがあります。ここで問題。個人投資家が相場を生き抜くにあたって、「空売り」を活用する必要性はどの程度あるでしょうか?

正解は・・・
(2)世の中に上げ相場と下げ相場が存在する以上、空売りは必須である。また、買いと売りでは取引感覚が異なるため、むしろ初心者のうちから空売りに慣れておくほうが妙な癖がつかないぶん好ましい


相場は上げたり下げたりするものです。買うことだけに囚われると、買ってはいけないところで買ってしまうことにもなります。正解は(2)の、「世の中に上げ相場と下げ相場が存在する以上、空売りは必須である。また、買いと売りでは取引感覚が異なるため、むしろ初心者のうちから空売りに慣れておくほうが妙な癖がつかないぶん好ましい」になります。


買うことだけに囚われるとどのようなことになるかを、米国のGE(ゼネラル・エレクトリック)株を実例に、説明しましょう。GEは、かのウォレン・バフェット氏のお気に入りで、「永遠に所有していたい」と言わさしめた銘柄です。私はセミナーなどで、ファンダメンタルズ分析の解説によくGEを取り上げていますが、それは、これだけピカピカの銘柄でも株価が下がるのだという、ファンダメンタルズ分析の恐さを知って欲しいからです。


まずは、私のブログからGE株のチャートをご覧ください。クリックすると見易く表示されます。
(GE株チャート:http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10556295240.html


先週末までの、この10年の株価です。2000年には60ドル台だった株価が、2009年2月には5ドル台にまで下落します。そして、同3月12日には、長年保っていたトリプルAから陥落してしまいました。


この時点で、アメリカの事業会社でトリプルA格を維持しているのは、エクソン・モービル(XOM)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、ファイザー(PFE)、マイクロソフト(MSFT)、オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の5社だけとなりました。つまり、格付けから見ると、全米ベスト6であり続けた会社の株価でも、10分の1以下にまで売り込まれることがあるのです。


そして、皮肉なことには、格下げとなった3月以降、GE株は格付け会社のアナリストを嘲笑うかのように、上昇トレンドに入ります。まさしく、踏んだり蹴ったりです。


もっとも、世界1位の保険会社であった、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)でも、サブプライム問題でいきなり破綻するのですから、ファンダメンタルズや格付けを投資判断の材料とするのは危険だということです。


では、いったい何を根拠にして、投資を始めればいいのでしょうか?


チャートを見ても分かるように、GE株の「買い」だけでも、儲けることはできます。2009年3月に買うのもいいですが、2003年2月から2007年10月にかけては、上げ下げを繰り返しながらも、上昇トレンドの中にいます。ところが、他の時期に買うと、とんでもないことになってしまいます。


つまり、このことで分かるのは、投資運用で決定的に大切なのは、ファンダメンタルズではなく、タイミングだということです。


そして、タイミングが成否を決めるのなら、売りも、買いと同様に、大きな収益チャンスとだと言い切ることができるのです。繰り返しますが、相場で決定的なのはタイミングです。だからこそ、相場はプロにとっても難しいのです。


ここでもう一度、GE株のチャートを見て下さい。右肩上がりの局面より、右肩下がりの局面の方が、角度が急だと思いませんか? チャートの縦軸は株価で、横軸は時間ですから、このことで分かるのは、買いより、売りの方が、短期間で儲けられるということです。これは、GEに限らず、株式や債券、高金利通貨など、保有することにメリットがある、つまり買いが先行する商品には一般的な傾向です。ゆっくり買い集めて、利食いや投げで急落するのです。


他の選択肢をみてみましょう。


(1)買いと売りではトレードのコツに違いがあるため、初心者のうちは空売りを考える必要はない。ただし、ある程度取引に慣れた投資家にとっては、長期に渡って利益を確保するために空売りは必須である


ファンダメンタルズ分析を根拠にGE株を買って儲けるのは、チャートを見るように、至難の技です。絶好のタイミングを捉えて買い、絶好のタイミングで売り抜けねばなりません。初心者にとって、むしろ簡単なのは空売りです。2008年頃までに、ファンダメンタルズ分析に逆らってGE株を売ってさえいれば、簡単に儲けられたからです。


(3)個人投資家は、下げ相場では取引をせずに休むことができるので、空売りの必要性は低い


空売りならば短期間で儲けられるチャンスがあるのに、買いに拘って物事を難しくする必要がありますか?


この問題の正解は2)の、「世の中に上げ相場と下げ相場が存在する以上、空売りは必須である。また、買いと売りでは取引感覚が異なるため、むしろ初心者のうちから空売りに慣れておくほうが妙な癖がつかないぶん好ましい」となります。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「資金管理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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