今週の解答
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一口にトレードといっても、日本株、外国株を初め、為替や商品先物、指数先物、オプション取引など投資対象には様々なものがあります。日本株の個別銘柄を主戦場にしたいと考えているトレード初心者は、このような他の投資対象とどう付き合うべきでしょうか。
(3)「見る」と「やる」では得られる情報に大きな差がある。さまざまな投資対象に関心を向け、動向をチェックするのはもちろんのこと、積極的に機会を見つけて、短期間でもなるべく実際の取引を体験した者が有利である
初心者であるあなたが、どういった理由で日本株を選んだのかは分かりませんが、実際に取引を行ってみれば、日本株より他の商品の方が向いているかもしれません。正解は3)の、「『見る』と『やる』では得られる情報に大きな差がある。さまざまな投資対象に関心を向け、動向をチェックするのはもちろんのこと、積極的に機会を見つけて、短期間でもなるべく実際の取引を体験した者が有利である」となります。
あなたがトレードできる金融商品はいくつもあり、あなたがどの商品に向いているかは、トレードしてみるまでは、分かりません。トレードというより、じっくりと資産を増やしたいのなら、保有することでメリットがある、高金利や高配当の商品を購入するのがいいのです。この場合には、多少の価格変動リスクには目を瞑り、信用リスクを取ることになります。
FXを例に取ると、実需が厚いドル円の取引と、ポンドなど、投機的な通貨の取引では値動きが違います。ポンドはプロの通貨などと呼ばれますが、どちらのトレードがより難しいというよりは、それぞれに癖があると考えた方がいいでしょう。
株式でも、指数と、個別銘柄は「違い」ますし、個別銘柄でも、大型、小型、上場市場、セクターなどによって、それぞれに癖があります。どうして、そのような癖が出てくるかというと、一番大きな要因は、参加者の違いなのです。
最もトレードに向いた商品は、参加者の種類、量ともに豊富な商品です。相場は実需を抱えた参加者だけでも、また、投機的な参加者(仮需)だけでも、片サイドに行き過ぎてしまうからです。
逆に言えば、最もトレードに向かない商品は、出来高のない商品です。そういった商品では、実需でも仮需でも、大きな売買が入ると、そのまま相場が動いてしまいます。また、それを狙って、相場をつくろうとする連中がいるので、うかつに初心者が手を出すと痛い目に会うのです。
ここで、他の選択肢も見てみましょう。
(1)日本株トレードの上達のために、他の投資対象への投資経験はこれといって必要ない。ただし、為替の動向が日本株の値動きに影響を与えるなどは日常茶飯事。さまざまな投資対象に関心を払い値動きをチェックすることが大切である
トレードで決定的な意味を持つのはタイミングです。タイミングは、他のどの要因よりも圧倒的に重要なので、仮にファンダメンタルズや他のすべての要因を間違えても、タイミングさえよければ儲けることができます。
このことは、逆にファンダメンタルズや他のすべての要因を読み尽しても、タイミングが悪ければ損してしまうことを意味します。タイミングを捉えるのは誰にとっても難しいので、均してしまえば5分5分の確率になってしまうのです。その時、ファンダメンタルズや他市場の動向がうまく読めれば、勝つ確率を55%位には高めることができます。
例えば、為替動向や、米金利、米株、ヨーロッパの債務問題、中国の景気見通しなどをうまく読めると、タイミングだけでは5分5分のものが、少しでも自分有利に傾いてくるのです。また、テクニカル分析は、タイミングを捉えること、そのものの成功確率を高めます。
とはいえ、初心者であるあなたが、ことさら日本株のトレードだけにこだわる必然性は見当たりません。
(2)初心者がさまざまな投資対象に関心を払おうとしても、混乱を生じるだけ。極力、日本株のトレードだけに集中したほうがよい
トレードで決定的な意味を持つのはタイミングなので、相場のことにはまったく無知であっても、タイミングが合えば勝つことができます。つまり、トレードで勝ちたいのなら、タイミングを捉える訓練を怠るわけにはいきません。その意味では、脇目も振らずに日本株のトレードだけに集中するのにも一理あるのです。
ところが、タイミングを捉えるだけなのなら、日本株に拘る理由がありません。市場商品には、参加者の違いによって値動きの癖があるので、あなたは別の商品に向いているかも知れないのです。
そして、さまざまな投資対象に関心を払い、市場に対する知識が深まると、タイミングだけでは5分5分のものが、少しでも自分有利に傾いてくるのです。目先では少しの有利にしか思えないものでも、長い期間を経ると、大きな差となってくるものです。
繰り返しますが、相場で最も決定的な意味を持つのはタイミングです。そして、タイミングを捉える感覚や技術は、実際に取引することでのみ磨かれていきます。
この問題の正解は(3)の、「『見る』と『やる』では得られる情報に大きな差がある。さまざまな投資対象に関心を向け、動向をチェックするのはもちろんのこと、積極的に機会を見つけて、短期間でもなるべく実際の取引を体験した者が有利である」となります。
見事正解だったあなたは・・・
油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。
書籍
プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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