あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[その他に関する問題]

株を始めるにあたって、他のことはともかくこれだけは知っておけ、必須の勉強というのはありますか?

正解は・・・
(1)チャートの見方を覚える


株取引の損益を決める最も大きな要因は、売買のタイミングと、リスク管理です。今回の3つの選択肢のうち、この両方を含むものは1)の、「チャートの見方を覚える」だけです。したがって、どれか1つだけは知っておく必要があるかという問いには、(1)が正解となります。


誰でも、株式投資を始めるとなると、さすがに何を根拠に投資するのかを考えることでしょう。そして、投資教育を行うまともなところに尋ねると、教科書的な答えが帰ってきます。

教科書的な答えとは、

株式投資は事業に対する投資である。
株式投資は長期投資が好ましい。
株式投資は企業の成長に投資する。
株式投資は割安なものに投資するべきだ。

などです。このうち、前の2つはどちらかというと株式の発行企業サイドに立った一般論で、後の2つは、それぞれ成長株(グロース)投資、割安株(バリュー)投資と呼ばれる、いわゆる投資の王道です。

つまり、教科書的な投資教育で扱うものは、押し並べてファンダメンタルズ分析なのです。

ところが、ファンダメンタルズ分析だけをベースにした株式投資では、なかなか上手く儲けることができません。

ここで、ファンダメンタルズ分析が抱える問題点について、私が投資家の方々の疑問に答えたものをブログに載せています。

・投資運用Q&A(http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10563656900.html


そこでは他のQ&Aと共に、世界的に評価の高いゼネラル・エレクトリック(GE)を例に、ファンダメンタルズ分析をもとにした投資の恐さを解説していますが、結論部分だけを引用します。

(以下引用)
A1b:
(前略)ファンダメンタルズ分析での投資は、根本的な矛盾を抱えている。例えば、今後、株価が上がると考える時、なぜ、今の株価が安いのかの説明ができないのだ。

割安だからと、成長が見込まれるからと、将来、確実に上げるものならば、誰でもが今買うはずだ。また、将来には上げるはずなのだが、現状は売り手がいるために上がらないと考えるのなら、ここで買わずに、売りが出尽くし、株価が安くなってから買えばいい。

ファンダメンタルズ分析は、そういった意味で独善的だ。
(引用終り)


独善的だというのは、成長株や割安株投資は、自分だけが優位性に気付くのでなければ、株価はすでに成長性や、割安性を織り込んでいて、今の株価はすでに中立なはずなのです。いや、まだまだ上がる、これから上がるというのは、自分勝手な、自分だけが他より優れているという思い込みではないかということです。


ここで注意を促しておきたいのは、ファンダメンタルズ分析とは、投資物件そのものを対象とした、株式投資では発行企業を対象とした分析です。例えば、A社とB社とを比較することで、どちらの企業がファンダメンタルズ的に優れているかが、数値ではっきりと分かります。ところが、どちらの株価が上がるのかまでは分からないのです。

そこで、ファンダメンタルズ分析の専門家であるはずのアナリストの中にも、チャートを参考する人が出てくるのです。では、最初からファンダメンタルズを飛ばして、チャートを見ればいいのかと聞かれたなら、私はそれでもいいと答えます。

また、ファンダメンタルズ分析で最も気を付けねばならないのが、リスク管理です。自分が買った割安株が値下がりすると、もっと割安になり、下げれば下げるほど、投資物件としては魅力的になります。その一方で、高く買ってしまったために、損失はどんどん大きくなります。つまり、どんなに良い投資物件でも、売買のタイミングがより重要なのです。


そこで、今回の問題を見てみると、

(1)チャートの見方を覚える =テクニカル分析
(2)四季報・財務諸表の見方を覚える =ファンダメンタルズ分析
(3)新聞だけでも役に立つ =ニュースや材料

となっているのが分かります。


(2)の「四季報・財務諸表の見方を覚える」はファンダメンタルズ分析を意味しますので、すでに述べました。では、(3)はどうでしょうか?

新聞などが扱うニュースや材料でも相場は動きます。ホットマネーを扱う投機筋は、短期勝負を心掛けていますので、ありとあらゆるものを相場を動かす材料に仕立て上げます。そして、思惑通りに相場が動くと、投機筋は少なくとも一部分は利食いのための反対売買をします。

つまり、ニュースをもとに売り買いを始めると、すでに相場は動いていて、投機筋の利食いの反対売買に利用されるケースが多くなります。

いや、まだまだ上がる、これから上がるというのは、自分勝手な、自分だけが他より優れているという思い込みで、ファンダメンタルズ分析をもとにした投資運用と似通ってきます。また、リスク管理も難しいのです。

例えば、癌の特効薬発見の朝刊報道で、すでにある程度買われている銘柄を買うとします。ところが、寄付きが高値で、一日中下げたとします。そして夕刊で、その記事が古かった、まだ発見途上であった、あるいは死亡事故が出ていた、他社も発見したなど、朝刊の記事の価値が下がる報道がなされたとします。あなたはどうしますか?

つまり、ニュースや材料に反応するだけの投資運用では、判断の基準を他人任せにしていることになります。「やってみたら、儲かった。よくは分からないが、大損した」などということを繰り返すだけとなるのです。


チャートは過去の値動きの忠実な記録です。過去の動きですから、未来を保証するものではありません。それでリスク管理が必要なのです。とはいえ、似たパターンは、似たパターンに繋がることが多く、そういったパターン分析は相場でも有効です。

相場は総合力ですから、いろいろなものに興味を持ち、学び、体験することが重要です。しかし、他のことはともかくこれだけは知っておけというなら、正解は(1)の、「チャートの見方を覚える」となります。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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