あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[投資心理に関する問題]

老後のことを考え資産を殖やそうと思い、株式投資をはじめました。ところが購入した銘柄が3割近くも値下がりし、心理的に大変です。誰に相談すれば良いでしょうか?

正解は・・・
(3)自分のお金なので、自分ひとりで解決する

あなたは会社勤めや自分の実生活で、どれだけのことを自分だけの判断で行えますか?投資の醍醐味とは、すべて自分で判断し自分でリスクを取ることなのです。そして、その結果が損益として現れます。思わぬ損失も、心理的に追い詰められることも、すべて株式投資というゲームの一部です。それを自分で対処し、乗り越えることによって経験が増し、より強い、上手い投資家へ成長していきます。老後のために増やさねばならないのは資産だけではありません。投資家としての経験も積み上げていかねばならないのです。資産を増やすことだけが目的ならば、投資信託などでよいファンドを見つけて購入してもいいのです。

あなたがやるべきことは、損失が10%を超えないうちに損切ることでした。損切りさえしていれば、3割近く下落したこの時点でまた買うべきかどうかを検討することができます。あるいは、損切りと同時に空売りでもしていれば、すでに損失を取り戻して利食うべきかどうかで悩んでいるのです。損切りを徹底して、持っているポジションは利益が乗ったものばかりにするのが、あなたが目指すべき運用なのです。

とはいえ、その銘柄を買うに至った好条件、つまり高収益や高配当、夢を抱かせる新商品などといったシナリオが崩れていなければ、多少の値下がりは仕方がないと、ずるずると持ち続けてしまうものです。そして、ある程度損失が大きくなってしまってから不安になり、今日の問題のような事態に陥ってしまうのです。

こういった状況のとき、ほとんどの証券会社の営業マンは、あなたに「耐える」ことを教えてくれます。信頼できる営業マンならば、株式投資の知識も豊富ですし、誠実に、あなたの立場で考えてくれます。ところが、どんなに相場の知識や経験があっても、次の瞬間に誰かが気まぐれに大きな売買をして、株価が数パーセント動くことまでは予測がつかないのです。どっちに動くか分からないのですから、あなたや自分にとって痛みを伴う助言はしてくれません。つまり「すぐに損切れ」とは言わないのです。

なかには「ナンピン買い」を勧める人もいるでしょう。相場は上げ下げの波動を伴って動きますので、どのような下降トレンドの相場でも多少の戻しはあります。その時、ナンピン買いでコストを下げていたなら、なんとか損失を回避できる確率が高まるのです。勝率が高くなる故に、ナンピン買いは根強く支持されていますが、それで逃げられなかった場合には、破滅してしまうという恐ろしい手法です。
(参照:あなたが増益見通しなので購入・保有していた銘柄が、750円の購入価格から700円にまで値下がりしました。このときもっとも適切な対処法はどれですか?
(参照:あなたはこれから投資を始めようと思っています。どの程度の勝率を目指すべきでしょう
身近な人も基本的には同じです。相談するからには、おそらくあなたも、損を抱えている自分に注意をしてくれるより含み損に耐え保有している自分を肯定して貰いたいことと思います。したがって、自分の資金状況や買いコストなどは明らかにせず、「この銘柄、少しやられてるけど、どう思う?」などと、一般論を求めるでしょう。好材料がある銘柄なら、一般論は良いに決まっています。仮に「損切れ」と言ってくれても、あなたにその気がなければ、他にいる自分を肯定してくれる人を探すのではありませんか?

株式投資は自立への道です。それは経済的な安定だけを意味するものではありません。人に頼らないで、自分で判断するという自立でもあるのです。相場への取り組み方や、考え方、手法などを学ぶことは重要です。しかし、判断までも人に頼ってはいけません。ほとんどの場合、状況はより悪化します。

悪材料もないのに、3割値下がりした銘柄をどうするか?相当のベテランでも簡単には判断は下せません(私はあえて、それでも損切れと言っておきます)。生き残っているプロは、そこまで自分を追い込まないのです。損は早めに切るものです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「投資心理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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