矢口新の『トレードセンス養成講座』
相場の世界で勝ち組になるためには、価格の変動要因やリスク・リターンなどの本質を掴まなければなりません。
わたし矢口新が監修するこの講座で、あなたも「相場力UP」を目指しましょう。
あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[資金管理に関する問題]

株式市場や為替など相場は大まかにわけて、トレンド相場と保合(もちあい)相場の2つがあると言われています。保合相場は一定のレンジで価格が上下し、トレンド相場は価格が上がり続けたり、下がり続けたり一方的な値動きをします。初心者でも利益が出しやすい相場はどちらでしょうか?

正解は・・・
(3)リスク管理を徹底すればどちらの状況でも利益が出せる

トレンド相場と保合相場では、まったく正反対の対応をしなければならない場合があります。初心者がどちらかだけに気を取られていると、相場が思惑とは違ったときに、大きな損失を出してしまいます。どちらにも収益チャンスはあるのですから、正解は、(3)リスク管理を徹底すればどちらの状況でも利益が出せる、です。利益を出せるだけでなく、安全でもあります。


相場は投機が縦糸(ボラティリティ)に、投資が横糸(トレンド)にして編み上げるタペストリーのようなものだとみなせます。


投資家は投資対象を詳細に分析(ファンダメンタルズ分析)し、他の投資物件とのバランスを考慮した一定量を買い上げ、一定期間、それも比較的長期にわたり保有しますので、相場に方向性を与えます。


その分析に説得力があれば投機家も買ってきます。投機家の目的はキャピタルゲインですから、当初からどこで売るかを考えて買います。また、できるだけ短期間で十分な額のキャピタルゲインを欲することから、必要十分な量の資金を、借入可能なだけ借り入れます。こういった買い手により、相場は上昇を始めます。これがトレンド相場の始まりです。


価格が上がり始めると、価格上昇に注意を向けていた投機家が参入してきます。彼らの多くは、ファンダメンタルズ分析に興味は示しますが、その分析が正しいかどうかにはあまり興味がないか、判断する能力がなく、実のところ価格が上げている事実に魅力を感じています。


なかには、ファンダメンタルズ分析の内容にはほとんど興味を示さず、価格が上げている事実だけに注目する(私のような)輩もいます。どちらも価格上昇そのものに魅力を感じているのですから、彼らの目的はキャピタルゲインのみです。この手の投機家も必要十分な量の資金を、借入可能なだけ借り入れて、買ってきます。価格は更に上昇します。


価格が上昇すると、価格上昇とファンダメンタルズ分析とは、お互いを補強し合う関係となり、ますます多くの投資家や投機家を集めることになります。そのうち、価格上昇の結果として割高となり、その投資物件は金融商品としての本来の魅力(割安感)を失うので、もともとその物件を所有していた人の売りや、まともな投資家の売りを誘うようになります。また、割高感を見ている投機家の空売りも出てきます。


そういった売り手と、高値圏で相場を追っかけてきた新たな買い手とのバランスが、下向きに崩れる直前の均衡点が波動の山となります。ここでトレンド相場は終わりです。崩れ始めると、価格そのものを見ていた輩などからの売り物がかさみ、新たな買い手集団と出合うところまで下落します。その時、キャピタルゲイン狙いの投機家が多く買っていた相場では、相応に大きな下落幅をみせます。買って売ってポジションがゼロとなる、こういった投機家が、相場にボラティリティを与えています。


いったん下を向いていた売り買いのバランスが、上向きに持ち直す直前の均衡点が小さな波動の谷となります。谷を越えると、相場は次の山を目指します。こういった比較的低い山、浅い谷の行き来が、保合相場です。


保合相場が続くと見る人は、以前の山頂(高値)や谷底(安値)に近付くと、そこが抜けないと見て逆張ります。一方、次のトレンドはしばらく続いた保合を抜けたところから始まるので、トレンド相場を見る人は、上抜け、下抜けを見て順張ります。つまり、波動の山谷では、正反対の行動を取ることになるのです。どちらかの思惑は必ず外れますので、リスク管理ができていないと利益どころではありません。


ここで、谷越えを待って買い、山越えを待って売ればどうでしょう?相場が折り返すまでは順張りのポジションでいながら、折り返せば保合相場であると確認できる訳ですから、そこでドテンで逆張ります(そこは新たな順張りのスタート)。また、以前の高値安値で折り返さなければ、トレンドが継続中だということで順張りのままで利益を伸ばすことができます。トレンド、保合、順張り、逆張りなどという言葉に惑わされることなく、価格の動きに逆らわないでいることが、最も確実、かつ安全な運用なのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「資金管理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

 

プロフィール

実践・生き残りのディーリング

【監修】矢口新(やぐち・あらた)

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。 著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。 新著『実践・生き残りのディーリング』は4月12日発売。

 

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