狙われるカザフスタンに足元をすくわれるな!
すべては「晩秋の大暴落」に備えた予行演習と心得るべし
去る16日から17日にかけて、円高がついには1ドル=111円にまで到達。マーケットは一気に大暴落した。まさに「瓦落(がら)」である。私は5月の中旬頃より、マーケットとそれをとりまく国内外の情勢分析を踏まえ、次のように述べてきた。
1)欧米間のマネー対立の構造の中で、それが引き金となって瓦落が生じる可能性が高い。
2)ターゲット・デートは早ければ6月中旬以降。用心に越したことはない。
その後、6月中は小規模の下落があったものの、日米欧のマーケットは平無事に推移。このコラムの読者も含め、意欲ある方々からは、「いったいあの『6月暴落説』はどこへいったのか?」と激しいお叱りにも似たコメントを頂いた。
しかし、私の率いるシンクタンクの「言論」をつぶさにウォッチしてくださっている方はすでにお気づきのとおり、「早ければ」6月中旬というところがポイントなのである。さらにいえば、その背景には欧米間のマネー対立の構造がある。「ドルVSユーロ」とも言いかえられる、その構造が変わらない限り、常に仕掛け、仕掛けられた結果としての「瓦落」の危険性は続いていたのだ。その後に行われたセミナー等で私からはそのことを繰り返し御説明してきたつもりである。
そして、参院選挙直後の7月30日。日本マーケットは暴落し始めた。いったんは小康状態になったものの、8月第2週後半から動きは加速。欧州中央銀行が市場介入という伝家の宝刀をついに抜いたことで、むしろ米国市場へと飛び火、一気に「瓦落」となった。やはり欧州と米国は「仕掛け」「仕掛けられて」いたのだ。
私たちの「言論」が訴えてきた内容を丹念にフォローし、自重を旨としてこられた個人投資家の方々からは、続々と喜びのメッセージが寄せられている。そのこと自身は、非常に喜ばしいことではある。
しかし、問題はここから。前回書いたとおり、本番はむしろ今年の晩秋の「瓦落」なのだ。そしてその時の引き金を引くのは、今回の世界同時株安で、どういうわけか陰の薄かった「中国」なのである。
中国バブル崩壊の巻き添えとなる国はどこか?
「中国バブルの第一次崩壊」という悪夢が現実となる今年の晩秋。それに向けて考えるべきことの1つに、日本マーケットという私たちにとっての「ホームグラウンド」とならんで、いったいどこの海外マーケットが大打撃を受けるのかという点がある。
それこそ砂漠であっても、まずは星条旗をたて、簡単な初期投資を行った上で、「ここ掘れワンワン!」と叫んでは、世界中から投資を募る。そして高値になったところで密かに売り抜ける。これが米国流金融資本主義の肝だ。「海外投資」の対象とするエマージング・マーケットとは、とどのつまり、そういった危ないものなのである。
その1つがカザフスタンだ。そしてこの中央アジアの国をめぐって、日本では全くキャリーされないが、最近、非常に気になる報道があった。
7月18日付の現地紙「kazpravda」に掲載された記事である。タイトルはないのだが、あえてつけるならば「カザフスタンへの中国の財政協力が進行中」といったところであろうか。
それによれば、現在、中国輸出入銀行がカザフスタンの開発プロジェクトに大いに触手を伸ばしているのだという。100万トンの生産能力を持つセメント工場建設を筆頭に、そのリストにはいくつもの案件がのっているとも報じている。
両国は先日、パイプライン建設計画で合意したばかりである。今後、石油・天然ガスといったエネルギー供給の分野で、相互にますます密接な関係となっていく。
すると、どうなるか?これから中国経済は沿岸部を中心に、今年の晩秋に「第一次崩壊」を迎えるのである。その中国とつながりが深い国であればあるほど、逃げ場所を失い、巻き添えを食うことになる。そうした国を、「ウランも究極のエマージング・マーケットだ」と叫ぶことが、どれほど理解に苦しむことであろうか。
大暴落とシステム転換の晩秋に備える
カザフスタンはその一例であるが、今度の晩秋の「中国発世界同時株安、またの名を『瓦落』」は、マーケットの濁流を通じて、国際関係までをも一変させる可能性の高いものである。金沢(9月15日)、そして仙台(9月22日)で開催する原田武夫国際戦略情報研究所主催の無料学習セミナーでは、間近に迫ったそのあたりの事情について、じっくりとお話することができればと思っている。
ちなみに、投資はあくまでも「個人の自己責任において」ではあるが、先日行った名古屋セミナー(7月22日)において、クライアントである1人の女性投資家より、某中央アジアの国への投資の是非について感想を求められた。私から一言、次のように申し上げた次第だ。
「見たことのない商品を買うということが日常生活でありますか?それと同じです。行ったことのない国を信ずることが、本当にできますか?」
これから晩秋に「中国バブル崩壊」を契機に生ずるであろう、世界システムの転換は、「自分で見てやろう」の精神で丹念に第一次情報を漁り、分析し、戦略的にストックするべきことを、私たち個人投資家全員に教えてくれるはずだ。そのことにあらかじめ気づくには、まだ時間がある。生き残りたいというのであれば「今」を逃すという手はない。
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筆者プロフィール
名前:原田武夫(はらだ たけお)
1971年生まれ。1993年東京大学法学部を中退し、外務省入省。
経済局国際機関第2課、ドイツでの在外研修、在ドイツ日本国大使館、大臣官房総務課などを経て、 アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を務める。
2005年3月末をもって自主退職。
現在、原田武夫国際戦略情報研究所代表。
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