投資のチャンスを確実にモノにするには、世界にアンテナを張り巡らし、お金の流れを機敏に察知する必要があります。元外交官の経験を活かし、一見違う視点で、世界の政治とお金の関係を、リアルタイムで説明します。
サブプライム問題を隠れ蓑に進行するシナリオ
サブプライムは世界同時株安の本質ではない
8月も第2週に入り、バカンス・シーズンになった途端、世界を襲った同時株安。8月頭に鎮静化したはずの事態が再び緊迫し、暴落へとつながったのは、とりわけ欧州中央銀行(ECB)による市場介入措置によるところが大きい。いつしか、「信用収縮」といった物騒な言葉すら、耳にするようになった。
大手メディアたちはすぐさま、例によって「犯人探し」を始めた。もっとも、2月末の世界同時株安の際には、「日銀が元凶だ」「いや、中国に原因がある」とやかましかった議論も、今回はどうやら違うようだ。メディアたちはためらいもなく、「原因は米国。サブプライム・ローン問題が炎上したことにある」と断言する。
しかし、はたして本当にそうなのか?情報を得ようにも、なかなか難しい個人投資家の立場からすれば、疑ったところで仕方がない、と思われるかもしれない。だがそう思ってしまっては何も始まらない。いや、それどころか、サブプライム問題を隠れ蓑に着々と仕掛けられている「シナリオ」に気づかず、それにはまってしまうという愚すらおかしてしまう危険性が高まっているのだ。
中国で不思議と勝ち続ける欧州勢
この秋を目標に、米系外資を中心とした勢力が着々と「崩し」の仕掛けを行い、いよいよその最終段階に入ったマーケット。それが、中国マーケットだ。
「まさか」と思われるかもしれない。そんな方は、「確かに、北京オリンピック(2008年8月)より前にバブル崩壊はあるだろうけれども、今年の秋というのは早すぎるのではないか」とも思われていることだろう。
しかし、実は米国勢は人知れず、高値の中国マーケットからこっそりと売り抜けているのだ。世界中のニュースをくまなくウォッチしているとそのことが良く分かる。
たとえば7月26日付チャンネル・ニュース・アジア(シンガポール)による「フランスと中国の間で原子力協定を調印」という報道。中国において最新鋭の原子炉を建設するプロジェクトを、フランス勢が勝ち取ったのだという。しかし、フランス勢は昨年12月に一度、米系のウェスティングハウス社に中国での原発受注競争に敗れていた経緯がある。それがここにきて急に調子づいてきたというのだから不思議だ。
これに限らず、たとえば中国の金融マーケットでもここのところ、米系ではなく欧州系の金融機関による「活躍」を伝える報道が目につく。その一方で、8月10日付フィナンシャル・タイムズ(英国)によれば、米国のGE製のタービンについて中国当局が「安全性と品質の点で問題がある」と糾弾する始末。中国マーケットでは、あたかも「米国劣勢、欧州優勢」であるかのようにも見える。
迫り狂うチャイナ・バブル崩壊の足音に耳を澄ませ!
だが、これで騙されてしまってはいけない。マーケットの最深部で活躍している猛者であり、筆者の金融インテリジェンスにとって欠かすことの出来ない情報源の盟友たちは、ここに来て口ぐちに次のように警告してくれている。
「サブプライム問題など、本質的な問題ではない。むしろこれは、中国マーケットをいよいよこの秋に崩すためのカムフラージュ。熱心に仕掛けをしてきた米国がいよいよ斧を振り落とす。日本のメディアは誰もそのことを語らないから、原田武夫の口から警告しておいて欲しい。これ以上、日本の個人投資家が大損をするのはさすがに見ていられない」
金沢(9月15日)、そして仙台(9月22日)で開催する原田武夫国際戦略情報研究所主催の無料学習セミナーでは、密かに迫り狂うチャイナ・バブル崩壊の足音に耳を澄ませるための「方法」について、じっくりと考えてみることにしたいと思う。そしてまた、現下の下げは、秋の「中国発バブル崩壊」の直前の「山」を作りだすための演出である可能性が高いことも忘れてはならないことを指摘しておこう。
歴史的な規模の現象となると聞く中国バブルの第1次崩壊。これを機に米国を中心とした金融資本主義が、システム全体としてヴァージョン・アップをはかるのだという。この「世界の潮目」について来られるかどうかは、このコラムの読者である個人投資家の皆様が持つ情報リテラシーにかかっている。
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- 筆者プロフィール
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- 名前:原田武夫(はらだ たけお)
- 1971年生まれ。1993年東京大学法学部を中退し、外務省入省。
- 経済局国際機関第2課、ドイツでの在外研修、在ドイツ日本国大使館、大臣官房総務課などを経て、 アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を務める。2005年3月末をもって自主退職。現在、原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。
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