あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

あなたは総資金500万円のうち、150万円で新興株などに投資しています。ある朝、ニューヨークの大幅下落を受け、東京市場も全面的に大きく下げ、あなたの持ち株も全て下落しました。持ち株の含み損は、その日の前場だけで10%程拡大しました。しかし、下げ幅を見ると売られすぎのようで、実際、一部の持ち株は後場に入って多少の反発を見せました。このような場合、次の3つの中で最も適切な対応はどれでしょう。

正解は・・・
(1)保有している株は戻りを期待しそのままにし、それまで押し目がなくて買えなかった銘柄で大きく下げたものがあれば新規で買う

勝負事はパニックになったら負けます。ニューヨークが下げたことを受けて、東京が全面安、持ち株も全て下落し10%ほどの含み損を抱えたということは、パニックの兆候です。ここは保有株の値下がりはひとまず静観しておいて、より反発が期待できそうな底堅い銘柄を新規に買いたいところです。正解は、(1)保有している株は戻りを期待しそのままにし、それまで押し目がなくて買えなかった銘柄で大きく下げたものがあれば新規で買う、となります。


相場では価格が絶対で、売られるものは売り、買われるものは買うことが重要です。その意味では、(2)の「戻るかもしれない期待より値下がりした事実を重く見て、ひとまずは全て手仕舞う」ことは必ずしも間違いではありません。この方法では、少なくともそれ以上には損失は膨らみません。


一方で、相場は割安を買って、割高を売ることで利益がでます。相場環境が1日で激変することなどほとんどないのですから、今回の問題のような状況であれば、割安になったとみなすこともできるのです。実際、株価収益率や株価純資産倍率は改善し、債券なら利回りがアップします。値動きにつくべきだと、機械的に値下がりを売って、値上がりを買っていたなら、なかなか儲けることはできません。この辺りで最も大切なのは、バランス感覚なのです。


(3)のように、相場全体が落ち着くまでは売買を控えて様子を見るのも一案ですが、トレーディングで儲けるにはそれなりの値動きが必要です。拙著、『実践生き残りのディーリング』では、「30. 荒れ相場のリスク」として、ディーラーにとっての値動きの重要性を述べていますので、ウェブページをご参照下さい。また、ウェブページには公開していませんが、同書の「43. 割高を売って割安を買う」や、「54. 押し目買い、戻り売り」も、今回の問題のヒントになることと思います。大動きの時にリスクを恐れて様子見していては、動かない時のリスクを背負込むことになるのです。


ディーラーたちは今回の問題のようなパニック的な動きを待ち構えています。もちろん売られた方向へついていく順張りが得意なディーラーは多くいますが、反対に売られたところを逆張ろうとするディーラーも同じように多いのです。もっとも逆張りは戻りを期待するわけですから、会社が潰れる可能性のあるスキャンダルなど、構造的な悪材料で逆張るわけにはいきません。連れ安や織り込み済みの材料など、一時的な悪材料なものの戻しを期待します。


今回の問題の場合は、ニューヨーク大幅安の連れ安ですから、パニックに巻き込まれるのを避けるように努めます。資金力に余裕があるので、保有銘柄はそのままにして、戻りが取れそうな銘柄を仕込みます。あるいは、ニューヨークの悪材料がそのまま構造的な悪材料につながるような銘柄を保有していたなら損切りし、ただ連れ安となって売られている銘柄が下げ止まったところを買って、銘柄を入れ替えます。またはチャートを手掛かりに、底割れしたものを売り払い、底堅いものに入れ替えます。その方が、反発した時の戻りも大きいのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

書籍

このコーナーが本になりました!第二弾発売中
矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson2

マネーのまぐまぐ!で連載中の「目指せ!相場の勝ち組〜矢口新の『トレードセンス養成講座』」が本になりました。過去の問題から、特に相場力アップに役立つ50問をピックアップ。矢口氏の書き下ろし解説もついて、自分の頭を使って考え相場の“基礎体力”を養うためのヒントが満載です。ぜひご覧ください。

『矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson2』の詳細はこちら

プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

メールマガジン

矢口新のメルマガ

さらに詳しく勉強してみたい方にはこちらの無料メルマガをおすすめします。

相場を知る・より安定した将来設計のために

投資運用の基本を押さえれば、やればやるほど上達します。自己責任の時代。相場で飯を食いたい。息の長い相場生活を送りたい。そんなあなたへ、相場のプロからひとこと、ふたこと。「生き残りのディーリング」の著者の相場解説!

メールアドレス 規約に同意して
まぐまぐ!・有料メルマガ
相場はあなたの夢をかなえる─有料版─

ご好評のメルマガ「相場はあなたの夢をかなえる」に、フォローアップで市場の動きを知る ー有料版ー が登場。本文は毎週月曜日の寄り付き前。フォローアップは週2〜3回、ホットなトピックについて、より忌憚のない本音を語る。「生き残りのディーリング」の著者の相場解説!

【840円/月(税込)/毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く)】

購読申込み