09年02月06日(金)のトップニュース
エスプリ神話崩れる、中間10年来の減益[繊維](NNA.ASIA)

地場アパレル大手、エスプリ・ホールディングスが4日発表した2008年12月中間決算は、売り上げが前年同期比2.9%増の190億6,000万HKドル(約2,185億円)、純利益は13.4%減の28億5,000万HKドルの増収減益決算となった。同社が減益計上するのは10年ぶり。アジア通貨危機、IT(情報技術)バブル崩壊、新型肺炎SARSと3回の不況時も増益を続けてきた「エスプリ神話」も、今回の金融危機で崩壊した格好だ。

資金繰りの悪化により卸売り部門の収益が圧迫されたのが減益の主因。世界的な信用収縮が同社の売り上げにも影響した形だ。5日付明報によると、エスプリの売り上げは85%を欧州に依存しており、アジア主体だった直近の景気後退よりもダメージが大きかったようだ。

ただ、同期中にエスプリは直営店77店、うち旗艦店9店を開業しており、今後も積極経営を継続する構え。同中間でも新興国での売り上げは大きく伸ばしており、中国本土(34.5%増)、中東(33.4%増)、ロシア(32.6%増)各市場での販売が経営を下支えした。今年は同社創業40周年に当たることもあり、広告宣伝や各種プロモーションで巻き返しを図る考えだ。

エスプリは、1993年香港取引所(HKEX)上場。ハンセン指数構成銘柄にも選ばれている。昨年12月末時点での直営店総数は774店舗で、世界40カ国・地域で展開している。<香港>

木下コメント

地場大手とは言っても、エスプリの収益は8割が欧州で稼ぎ出されている。世界経済を牽引して来た欧州経済が落ち込めば、エスプリの収益も落ち込んでしまう。

ドル箱であった欧州で稼いできた構図は、日系自動車メーカーがドル箱であった北米に経営資源を集中的に投下していた姿に似ている。

ただ、驚くべきは、純利益が「13.4%減」でしかない、ということ。トヨタ自動車が2兆3000億円の最高益から、創業来初となる4000億円もの赤字計上を余儀なくされているのとは対照的だ。

その秘密は、新興国での伸びにある。このあたりが日本の小売とはまったく発想が異なる。

日本の小売業で世界を見据えて戦っているのは、ユニクロを展開するファーストリテイリングぐらい。それでも収益は国内が大半だ。

景気が悪いのは世界中で共通していること。しかし、世界中で販売していこうとするエスプリのようなスタイルは、いずれどこかで復活してくる。いまはまだ投資タイミングとは言えないが、注目しておきたい会社の1社だ。

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本当の株価上昇は北京五輪の“後”に来る?〜中国訪問特別記(2)

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