北京五輪目前、でも現地は意外としらけムード?中国訪問記(1)

今年08年、世界がもっとも注目しているイベントの1つが中国・北京で開催されるオリンピックでしょう。スポーツイベントとしてはもちろん、チベット問題の絡みで政治問題としても注目を集めていることは、みなさんもご存知の通りです。

また、北京五輪は、経済・投資の観点からも注目すべきイベントといえます。急速に経済成長を遂げた中国にとって、五輪開催は「先進国入り」の象徴的なイベント。それに向け、急速に近代化を進めてきました。同時に、インフラの整備による国内需要の掘り起こしは、更なる経済成長のきっかけとなりました。

多くの個人投資家にとって、海外株への投資を始める、またはそもそも海外株に関心を持つきっかけになったのは、中国株なのではないでしょうか。

2003年にゴールドマン・サックスが、勢いのある国として、ブラジル、ロシア、インド、中国をピックアップし、BRICs と名づけました。その頃から中国株は騰勢を強め、上海総合株価指数は昨年、一時6,000ポイント台をつけました。数年で6倍という、驚異の勢いです。

それが昨年末から今年にかけ下げ足を強め、ついに今では、2,000ポイント台にまで急落しています。北京五輪までは株価が下がらぬよう、政府が何とかするだろうといわれていたにも関わらず、です。

北京五輪開催前から、「中国はバブルだった」「中国にもう投資魅力はない」といった声が聞かれるのもご存知の通りです。

果たして、中国にはもう投資魅力はないのでしょうか?

私は、“机上”ではなく、現地の声に触れることで、その答えを導き出したいと考えています。そこで、7月4日から9日まで、実際に中国を訪問し、その特別リポートを今回と次回の2回にわたりご紹介したいと思います。

前編にあたる今回は、「五輪を前に、さぞかし盛り上がっているのだろう」と想像していた北京の様子をご紹介します。

規制の強化で市民はしらけムード?

まず訪れたのは「The Place」という場所です。

The Place

The Place

北京の“お金持ち”たちが再開発した地域です。五輪開催時には、大画面でその様子が放映されるそうです。

しかし、このような“オリンピックムード”で盛り上がっているのはごく一部。現地の方々に話を伺うと、なんとなくしらけている、という印象を受けることも多くありました。

その要因の1つが、規制の強化です。政府がメンツをかけ、街の美化に躍起になっているというニュースを耳にされた方も多いでしょう。現地で起業している日本の実業家のお話では、色々と因縁をつけられ営業停止に追い込まれる飲食店が続出しているそうです。

五輪開催まであとわずか

五輪開催まであとわずかですが…

“新名物”?深刻な大気汚染

また、北京を訪問して実感したのが、「大気汚染が想像以上に進んでいる」ということです。あまりに大気が汚染されているために、マラソンなどの競技が行えないのでは?といった報道もありましたが、それも無理ない、と思うほどでした。

どんよりと曇った空

どんよりと曇った空

実際、昼間に空を見上げると、太陽がまるで月のようなおぼろげな姿を見せていました。現地で見た携帯電話の天気予報のページには「汚染指数」なる項目が存在しています。

携帯の天気予報に表示される汚染指数

携帯の天気予報に表示される汚染指数

中国にはもう投資魅力はないのか?

最初に述べたとおり、上海総合株価指数は今年に入って大きく下げており、米国発サブプライムローン問題で中国も打撃を受けたと伝えられている中、北京五輪は中国株にとって、大きな好材料のはずでした。

しかし、そんな大イベントを控えながらも、国内では“高揚感”のような盛り上がりは感じられませんでした。五輪開幕直前、さぞかし盛り上がっているだろうと思い北京入りしただけに、肩透かしを食らった格好です。一方で、大気汚染は想像以上にひどい…。

正直なところ、中国株に関して現時点で投資魅力がある、または今後高まっていくとは思えない、と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、私はそうは考えていません。少なくとも簡単に、「中国にもう投資魅力はない」とはいえないと考えています。

ではなぜそう考えるのか?その理由を次回、上海訪問のリポートとしてお届けしたいと思います。

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木下晃伸(きのしたてるのぶ)

経済アナリスト、フィスコ客員アナリスト。1976年愛知県生まれ。南山大学法学部卒業後、中央三井信託銀行、三菱UFJ投信などを経て、現在は株式会社きのしたてるのぶ事務所代表取締役。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。著書『日経新聞の裏を読め』(角川SSコミュニケーションズ)発売中。

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マネー誌「マネージャパン」ウェブコンテンツ。ファンドマネジャー、アナリストとして1,000社以上の上場企業訪問を経験した木下晃伸が株式投資のヒントを日々のニュースからお伝えします。「株式新聞」連載をはじめ雑誌掲載多数。

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