『国際政治経済塾』
投資のチャンスを確実にモノにするには、世界にアンテナを張り巡らし、お金の流れを機敏に察知する必要があります。元外交官の経験を活かし、一見違う視点で、世界の政治とお金の関係を、リアルタイムで説明します。

外資の仕掛けではじまる国内銀行の大再編劇

欧州でも関心を呼ぶ日本の銀行再編

金融機関をめぐる不祥事が絶えないが、それらがすべて「仕掛けられたもの」かもしれないと考えるとモノの見方が変わってくる。メールマガジン『元外交官・原田武夫の「世界の潮目」を知る』や、原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログでもお伝えしてきているように、相次ぐ内紛、不完全なシステム統合など、最近ではあまり評判の芳しくない日本の銀行業界についても、「仕掛ける側」である外国人の目からみると、宝の山のように見えてくる。


1つ例を挙げてみることにしよう。4月7日付のスイス紙「フィナンツ・ウント・ヴィルトシャフト」は「M&Aが日本の株式市場に刺激を与える」と題する大きな記事の中で、日本におけるM&Aの数が対前年比をはるかに上回る可能性が出てきていることを伝えている。そして、その流れの中で最も注目されるセクターとして銀行業界を掲げ、「再編劇が予想される」とした上で、読者である個人投資家たちに注目を呼び掛けているのだ。

意外なところに再編の引き金あり

それでは日本における銀行再編は一体何を引き金にして生じるのだろうか。ファンドや投資銀行といった越境する投資主体たちの手口は意外にも世界中で同じパターンであることが多い。だからこそ、世界の裏側、とりわけ欧州で今何が起きているのかを知ると「明日の日本で起きること」が見えてくるのだ。


この関連で注目したいのが、4月4日付の「フィナンシャル・タイムズ」(ドイツ版)の記事だ。「西部州銀行(WestLB)が株取引で数百万ユーロの損失」と題するこの記事は、ドイツの最有力地方銀行である西部州銀行(WestLB)が、最近の株価急落で巨額の損失を抱えてしまい、担当役員に対する刑事訴追まで検討されていると伝えた。これによって西部州銀行(WestLB)は同じドイツの地方銀行たちに対する買収を仕掛ける側から、一転して仕掛けられる側に置かれる危険性まで出てきたのだという。


つまり、地方銀行であれ、預金の運用のため、金融マーケットを相手にしているととんでもない目にあう可能性があるということなのである。しかもこの記事によれば、この銀行が抱えた損失は、空売りを一斉に仕掛けるヘッジファンド勢によってさらに拡大する可能性すらあったらしい。よく考えてみると、そもそもドイツ国外の資勢がこうした「仕掛け」をしたと考えても不思議ではない状況にある。

地方でこそ三角合併解禁への備えが必要だ

マーケットの声を聞く限り、率直に言って、日本でも地方の金融機関が地場を離れ大きな金融マーケットで運用する能力を十分に持っているのかというと大きな疑問が残る。上場している地銀勢であっても、運用については相次いでセールスにやってくる欧米系の外資に一切お任せということがよくあるのだ。したがって、今回ドイツで起きたことは全く他人事ではない。日本の地銀再編、ひいては都市銀行を含めた大再編劇は、金融マーケットへの仕掛けで十分可能なのである。


そうである以上、いよいよ5月1日に迫った三角合併解禁による「日本買い」に対する備えは、地方でこそ必須だ。その観点から、東京、大阪に続き、福岡での無料「謝恩セミナー」を来る5月20日に開催する予定である。小泉構造改革という名の、実際には米国の指示に沿った「破壊ビジネス」によって決定的に格差を強いられつつある地方での「生き残り戦術」を含め、じっくりと学び、考える機会としてご活用いただければと願っている。

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筆者プロフィール

名前:原田武夫(はらだ たけお)
1971年生まれ。1993年東京大学法学部を中退し、外務省入省。
経済局国際機関第2課、ドイツでの在外研修、在ドイツ日本国大使館、大臣官房総務課などを経て、 アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を務める。
2005年3月末をもって自主退職。
現在、原田武夫国際戦略情報研究所代表
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