介護ビジネスは欧州マーケットで花開く
花開く英国流介護ビジネス
とどまることを知らない日本社会の「高齢化」。誰しもが老いるわけで、「老後のため」と投資をしている個人投資家の方々も大勢いるだろう。いざ「要介護状態」になったことを想像すると、介護者にかかる手間暇は実に頭の痛い課題であることは誰しもが知っている。だからついつい、「介護はビジネスにならない」と思ってしまうものである。
しかし、これは大きな誤解であることを示す報道が、最近、欧州では流された。7月13日付フィナンツ・ウント・ヴィルトシャフト紙(スイス)に掲載された記事「老人介護は株式市場でも1つのテーマである」である。
日本より一足先に高齢化社会を迎え、同時に「構造改革」の進展によって格差社会が顕在化した英国で、この記事によれば今、「マーケットで有望なビジネス」の1つとして「介護」が注目されているのだという。高齢者が増えることによって、そう遠くない将来、英国の介護マーケットは2倍の規模になると予測。それを見計らって、大量の資金と新しいアイデアがこの分野に流れ込んでいるというのだ。
業界最大手のサザン・クロス社を、2004年に米系プライヴェート・エクィティの雄であるブラックストーンが買収。上場まで持ち込んだ結果、株価はIPO時より現在、150パーセント増にまでなっている。
また、介護ビジネスそのものを手掛けるのではなく、それをサポートする分野も活性化してきている。特に注目なのがいわゆる「エクィティ・リリース・プラン」と呼ばれるビジネス。介護施設を担保としての不動産とみなし、それに見合ったファイナンスを行うことで、介護ビジネスの展開をサポートするというビジネスだ。これで急成長している企業もあるのだという。
見えてきた「コムスン問題」の結末
一方、日本における「介護」をめぐる状況はというと相変わらずだ。法令違反が摘発された「コムスン」、さらには同社の親会社である「グッドウィル」をめぐる騒動は一向に収まる気配がない。その一方で年金問題は騒ぎ立てるメディアによって拡大するばかりだ。
「事業を拡大すれば、その分だけ効率性がアップし、収益は拡大する」という、いわゆる「規模の経済」が働かない介護業界。それだけに、「介護ビジネスはカネが目的ではダメ。あくまでも心が必要」といった精神論だけがまかり通っている。
確かにそれは一面では事実であろう。これまで日本の繁栄を創り上げ、支えてきてくれた年長者を敬う気持ちが必要なことはイロハのイだ。しかしそのことと、高齢化社会という新たなビジネス環境の中で、知恵を絞り、果敢に攻め上げることとは矛盾しないはずである。「コムスン問題=日本の介護ビジネスの限界」と考えるにはまだ早いのではないだろうか。
その証拠に、日本より先に高齢化社会となっている英国では、米系巨大ファンドが介護ビジネスを狙い打ちするにまで至っているのだ。同様に高齢化社会が着々と定着しつつある日本で、彼らが同様の「日本買い」をしないという証明がどこにあるだろうか。現在の「下げ」は、中期的にみて次のフェーズにむけた「上げ」の兆候とみる個人投資家の度胸がここでも試されているのだ。
目先の利益に振り回されない本当の「投資法」を学ぶには?
金沢(9月15日)、そして仙台(9月22日)で開催する原田武夫国際戦略情報研究所主催の無料学習セミナーでは、このあたりの事情についてもじっくりとお話できればと考えている。
現在、個人投資家の方々は一向に展開が読めなくなっている株式マーケットではなく、より分かりやすい(かのように見える)為替マーケットへと転向している向きが少なくないという。しかし、ここはひとつ腰を落ち着けて、日本社会が外国の越境する投資主体たちからみて、どのように見えるかを考えてみるべきなのではなかろうか。
そうすれば、今は「売り」のように見える介護ビジネスが、実際には次の日本社会における「花形」にいよいよなる姿が見えてくる。そのことを知っているのは、地球の裏側で「介護ビジネス」が株式マーケットでの主たるテーマに既になっていることを知っている、賢明な個人投資家たちだけなのだ。
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筆者プロフィール
名前:原田武夫(はらだ たけお)
1971年生まれ。1993年東京大学法学部を中退し、外務省入省。
経済局国際機関第2課、ドイツでの在外研修、在ドイツ日本国大使館、大臣官房総務課などを経て、 アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を務める。
2005年3月末をもって自主退職。
現在、原田武夫国際戦略情報研究所代表。
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