マーケットを駆け巡る「ブッシュ大統領途中退任」の噂
NYマーケットを駆け巡るとある「噂話」
暑かった夏がようやく過ぎ去り、涼しい秋が訪れた日本。週末ともなると、多くの人たちが行楽へと繰り出し、幸せな「日常風景」が至るところで繰り広げられている。
しかし、マーケットをウォッチしている個人投資家の方々にとっては、それどころではないだろう。このコラムでこれまで繰り返し「警告」してきたとおり、今年の秋は、これまで例を見ない規模でマーケットが大転換する秋となる。その中でマネーが動き、人が動き、そして世界史が音をたてて動いていく。
そんな「歴史の扉」にさしかかっているというのだから、おちおちと行楽などにふけっている余裕は無い。世界は確実に動いている。どんな細かな動きであっても、全神経を集中させ、それを見据えるべきだ。その先には、必ずや「世界の潮目」が見て取れることだろう。
そんな中、私の耳にこの10月になってから入ってきたことが1つある。それは次のような情報だ。
「11月になると、驚くべきことだが、任期を全うせずにブッシュ政権が崩壊する。後を継ぐのはチェイニー副大統領ではない、全く別の人物だ」
伝えてきたディープ・スロートでさえ、「単なる酒の肴としての噂話だ」と言っていたくらいの話である。それ程度のものとして受け取るべきものなのかもしれない。
何せ、話の主人公は、表向き米国を「仕切って」いるはずのブッシュ大統領なのだから。いくら頼りなさそうだとはいっても、さすがに任期途中での降板はないだろう。私も、当初はそう思った。
追い詰めるネオコン、煩悶するブッシュ大統領
しかし、日本では全く報じられていないが、欧米のメディアをウォッチする限り、確実にこの関連で大きな「潮目」が生じつつあるのだ。まさに「何でもアリ」の状態。驚くべき予測が、徐々に確実性を増していく。
そんなメディアによる報道の1つが、ドイツの保守系新聞「ディ・ヴェルト」に掲載された「シリアとの付き合い方について争う米政府の閣僚たち」という記事だ(10月14日)。この報道によれば、9月に行われたイスラエルによるシリアへの空爆について、ホワイトハウス内で激論が起きているのだという。そして、一方の陣営が本当の狙いとしているのが、ブッシュ大統領本人だというのだから尋常ではない。
この報道によれば、イスラエルがシリアを空爆したのは、シリアが北朝鮮と協力し、国内で核開発施設をつくっていたからなのだという。しかし、そう主張するのはイスラエルと米政府内に居座るネオコン勢だけで、ブッシュ大統領やライス国務長官などはそれに挑発されて、シリアにこぶしを振り上げるのには躊躇しているのだという。いや、それどころではない。11月初旬に米国で開催する予定の中東和平会議にシリアを招いたというのだ。これが、ネオコン勢の逆鱗に触れている。
このコラムでも以前書いたとおり、ネオコンを除く米国のエスタブリッシュメントたちは、「中近東」から早く脱却すべしという点で一致している。ブッシュ大統領らはその意向に沿って動いていると見るべきだ。ところが、そうなるとイラクやアフガニスタンで行ってきた「戦争ビジネス」「原油ビジネス」で荒稼ぎするネオコン勢は成敗されるはず。そこで「やられる前にやってしまえ」の鉄則に従い、イスラエルの手を借りてホワイトハウスへ殴り込みをかけた感がある。
しかし、このまま中東和平会議を11月初旬に米国で強行するとなるとどうなるか?中近東がネオコンで行ってきた数々の「悪行」が暴露され、糾弾されることになるだろう。そうなる前にネオコンであるならば、どうするだろうか?
10月末から11月がターゲット・デート
福岡(11月10日)・広島(11月11日)で開催する情勢分析セミナーでは、このあたりの驚くべき展開に関する最新事情の分析について、私なりの考えをじっくりと述べ、聴衆の方々と一緒に考えてみたいと思う。
ちなみに私はこのコラムを通じて、今年夏より、「早ければ10月末から11月に、中国バブル第一次崩壊が生じる可能性がある」との分析を披露してきた。金融インテリジェンスにおいて「時期の特定」ほど難しいものはないが、今回の動きをめぐっては徐々に輪郭が見えつつあるといっても過言ではない。
上記の報道との関係でいえば、中国はイスラエルによるシリア空爆をすでに激しく糾弾している。なぜなら、自らが議長国をつとめる中でようやく「まとめ」をしつつある六カ国協議の火種となっている北朝鮮についても、シリアに絡めてネオコン勢が成敗しようとしていることは明らかだからだ。中国の怒りの矛先はネオコン勢に向けられている。
そうなると…自国の大統領ですら、ものともしないネオコン勢である。中国に対し、いったいどのような動きに出るかは明らかだろう。これから10月末、そして11月にかけて、何とも「異様」としか言い様のない動きが続々と米中間で発生する可能性は無きにしもあらずだ。
株式、あるいは為替レートなど、単なる金融商品だけを見ていても、動きは全く分からない。むしろこれを理解するには、マネーが織りなす「世界の潮目」を、世界各国の報道から一早くつかみとり、その意味を踏まえた上で行動していくことが必要となっている。そのことを、来る10月末から11月にかけての世界は、私たちにじっくりと教えてくれることになるだろう。
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筆者プロフィール
名前:原田武夫(はらだ たけお)
1971年生まれ。1993年東京大学法学部を中退し、外務省入省。
経済局国際機関第2課、ドイツでの在外研修、在ドイツ日本国大使館、大臣官房総務課などを経て、 アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を務める。
2005年3月末をもって自主退職。
現在、原田武夫国際戦略情報研究所代表。
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