金連動商品も登場。好調続く投資信託をどう見る?
大商に金ETF登場
個人マネーの投資信託への流入が加速しています。投資信託協会が07年7月12日に発表した6月末の株式投信(公募)の純資産残高は、13ヶ月連続で過去最高を更新する67兆9,000億円となりました。これほどの残高増は「投資信託ブーム」と呼べるかもしれません。
個別の純資産残高増加ランキングでは、ピクテ投信投資顧問の「グローバル・インカム株式ファンド」や、野村アセットマネジメントの「マイストーリー」、「世界好配当株投信」など、世界的な株高や円安傾向を受け高いリターンが期待できる株式や、債券を組み入れて分散投資するバランス型が上位に入っています。
こうした投資信託が好調な状況の中、「大商、金ETFを上場」というニュースが流れました。株式や債券に加え、金にも投資できる、つまり投資家の選択の幅がさらに広がるという意味で、注目すべきニュースでしょう。
ETFとは、上場投資信託のことで、株価指数などに連動するよう運用され取引所にも上場されています。投資家は株式と同様に売買ができ、また一般の投資信託に比べ手数料が安いことが特徴です。
しかし日本では、これまでは商品の種類が限られており、海外に比べETFの市場があまり伸びていませんでした。金ETFの上場は、そうした現状を打破するインパクトを持つかもしれないのです。
現在の主流である分散投資の一環として金ETFが選ばれるだけでなく、今後、原油やコメなど、多くのETFが登場するかもしれません。【ポイント1】
個人マネーが投資信託に流入する訳
ではなぜ投資信託がこれほどの人気を集めているのでしょうか。
プロが運用を代行してくれる点は魅力でしょう。個別銘柄に投資するよりもリスクが低いというイメージもあります。加えて、私は銀行でも販売されているという点も大きな要因だと考えています。
銀行窓口での投資信託販売が始まったのは98年です。当初は「銀行では売れない」といわれていましたが、ふたを開けてみれば身近さが受けたのか、今では銀行が最大の投信販売元になっています。低金利に我慢できなくなった個人投資家が、預貯金からシフトしたという側面もあるのでしょう。
そして、海外では例を見ない毎月分配型が特徴の国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン」が個人投資家の人気を集め、5兆円を超える巨大投信に成長しました。
その後は、上記の通りより海外株投信や、不動産をはじめとする複数資産に分散投資するバランス型が人気を集めています。
また、05年10月からは、銀行だけでなく郵便局の窓口でも投資信託の販売が始まりました。既に1兆円の資産規模にまで拡大しており、今後もさらに大きくなるでしょう。投資信託ブームはまだまだ続く、と考えてよいと思います。【ポイント2】
相次ぐ不祥事、投資信託とどう付き合うべき?
人気に伴い、さまざまな投資信託が登場しています。これだけ多くの商品の中からピンポイントでこれだと選ぶのは、株式投資の個別銘柄を選択するよりも難しいかもしれません。
投資信託の場合、手数料体系がさまざまですし、運用の中身がブラックボックスであるため、実際の運用状況が分かりません。最近では、ピクテ投信が運用成績が低迷しているファンドに、値上がりが見込まれやすい新規公開株を集中的に割り当てるなど投資家に不公平となる運用を繰り返していたとして、金融庁から一部業務停止処分を受けました。
また、三菱東京UFJ銀行では、投資信託の窓口販売で、不適切な処理が過去3年で約100件見つかったとして、銀行法に基づく業務改善命令を受けました。
本来であれば、顧客が購入を希望した投信とは別に投信を取り次いだときは、金融庁に報告の上、顧客に損失を補てんする必要があります。しかし、支店長が謝罪に出向いたが、補てんは顧客からの苦情が届いた場合のみだった、というのです。
プロに運用を任せられるという点は、投資信託の魅力の1つです。しかし、そのプロの側で不祥事があったということは肝に銘じておくべきでしょう。その上で、投資信託とどう付き合えばいいのか。私は、ETFを活用すべきだと考えています。
ETFは日経平均株価などに連動するため、「なんだ、平均か」と思われる方も多いでしょう。しかし実際には、日経平均を上回るパフォーマンスを目指すファンドマネジャーにとっても、「平均」はそう簡単には勝ち続けることのできない強敵なのです。
さらに、金など自分では直接投資が難しい金融商品を加えるのが賢明です。もちろん、今後高い成長が期待できるBRICs型や、外国の債券、不動産などに投資をする分散型もいいでしょう。【ポイント3】
実際、こうした商品が人気を集めています。「多くの個人投資家が自然と自分の身を守る投資方法を身につけている」、これが私の実感です。
相場が分かる!今日のポイント
- 【ポイント1】
- 金は元々東証でも上場が検討されていました、しかし、日本では現物の金を裏づけにしている限り上場できません。大証は、現物の金ではなく、金価格連動の債券を複数組み込むことで法律をクリアしました。この仕組みは、商品価格に連動する債券を発行すれば、どんなETFでも組成できる可能性を示しており、今後のETF拡大の後押しとなることが期待されるのです。
- 【ポイント2】
- 9月に施行される金融商品取引法では、広告規制によって「リスク」の表示が徹底されることになります。裏を返せば、自分の資産が上昇しようと目減りしようと自己責任だよ、という意味。自分で自分の資産を管理・運用していくという姿勢が、ますます求められるのです。
- 【ポイント3】
- まずは少額から始めることも重要です。例えば積み立てから行うなど。投資信託はほとんどの商品が1万円からスタートしています。私も投資信託は、日経平均に連動するタイプと新興国の株価に連動するタイプに、毎月各2万円ずつ積み立てをしています。
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プロフィール
木下晃伸(きのしたてるのぶ)
経済アナリスト、フィスコ客員アナリスト。1976年愛知県生まれ。南山大学法学部卒業後、中央三井信託銀行、三菱UFJ投信などを経て、現在は株式会社きのしたてるのぶ事務所代表取締役。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。著書『日経新聞の裏を読め』(角川SSコミュニケーションズ)発売中。
投資脳のつくり方
マネー誌「マネージャパン」ウェブコンテンツ。ファンドマネジャー、アナリストとして1,000社以上の上場企業訪問を経験した木下晃伸が株式投資のヒントを日々のニュースからお伝えします。「株式新聞」連載をはじめ雑誌掲載多数。
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