“魅惑のイスラム国家”マレーシアの投資魅力〜アジア訪問特別編(2)
前回は『韓国の魅力はダイバーシティ(多様性)?』と題して、韓国の現地企業の訪問記を基に、韓国株の魅力についてお届けしました。
今回は、特別編の第2弾として、“魅惑のイスラム国家”マレーシアについてお届けしたいと思います。
マレーシアという国名を知らない人はいないでしょう。しかし、同国を投資対象として、しっかりと把握されている方は少ないのではないでしょうか。現地を訪問したからこそ分かる、同国の魅力をお伝えできればと考えています。
「資源立国」としてのマレーシア
今回、私は6月1日(日)から4日(水)までの4日間、マレーシアを訪問してきました。飛行機で7時間、時差はたったの1時間です。
空港についてまず驚いたのが、案内板に日本語の記載があったことです。
この写真は、空港とマレーシアの首都クアラルンプールの市街地を約30分でつなぐ特急電車の案内板です。こうした案内板を目にすると、マレーシアという国が、いかに日本に対して開かれているのかが分かります。
そして、空港から市街地までの間には一面のパーム畑が広がります。
このパームから生成されるパーム油は、資源立国マレーシアの中心をなすものです。私は、今回のマレーシア訪問で、パーム油のプランテーションビジネスを手がける「IOI Corporation」を取材しました。同社は、マレーシアの株式市場で時価総額第2位を誇る、同国を代表する企業です。
パーム油は食用油として使用されるだけでなく、バイオディーゼル燃料としても、使用が進められています。
しかし、パーム油の価格は、歴史的な原油高が進んでいるにも関わらず、それとは連動せず横ばいの状態。さらに、今後は下落する可能性すらあると考えられます。
そうした点を鑑みると、単に資源に着目してマレーシアに投資するのは得策ではない、と私は考えています。
マレーシア企業の投資魅力
マレーシアは赤道に近く、熱帯雨林気候に属す国です。熱帯雨林気候といえばスコール、私も滞在中、何度もスコールに見舞われました。
写真は IOI 本社前です。激しい雨で、水浸し状態になっています。
こうした、熱帯雨林やスコール、そして産業といえばまず思いつくのが資源関連、というのが一般的なマレーシアのイメージではないでしょうか。
確かにそのような面はありますが、一方で近代化され、裕福な側面も持ち合わせています。
この写真は「クアラルンプールの銀座」と呼ばれるブキッ・ビンタンの様子です。非常に活気にあふれていました。
また、ブキッ・ビンタンからタクシーで数分の距離にあるマレーシア最大の観光地「ペトロナスタワー」も、身近で見ると、その迫力に圧倒されます。
マレーシアについては、なんとなくエキゾチックな国というイメージでとどまっている方も多いでしょう。しかし、実際に現地を訪問してみると、それだけでは済ませられないということがよく分かります。
それは企業も同様です。先ほど挙げた IOI のような資源関連の企業だけでなく、銀行も活躍、業績を大きく伸ばしています。また、建設業は、近隣のベトナムやインドネシアなど近隣アジア圏で収益を稼いでいます。こうした企業も取材しましたが、非常に魅力的だ、と感じました。
可能性を広げるアジア株への投資
かつて、海外株への投資は一部の富裕層にしか手が出せないものでした。それが今では、誰でも参加できるようになりました。
今回取り上げたマレーシアであれば、楽天証券が「MSCI Malaysia Index Fund(EWM)」というETFを扱っています。投資単位も小さく、1万円程度で投資が可能です。第一歩を踏み出すのに適しているといえます。また、個別銘柄なら、アイザワ証券などで口座を開くことが可能です。
投資対象を日本に限定せず世界に広げることで、可能性は格段に広がります。私は、その中でもアジア株は積極的に投資を考えてもよい投資対象だと考えています。
慎重な判断が求められる場面も出てくると思います。しかし、「選択肢を限定しないこと」。それを心がけていただきたいと思います。
- 今年は、既にさまざまな国を訪問しました。年内には、中国、ブラジルや台湾、シンガポールへの訪問取材を検討しています。機会あるごとにそのリポートをお届けしたいと思います。(木下)
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木下晃伸(きのしたてるのぶ)
経済アナリスト、フィスコ客員アナリスト。1976年愛知県生まれ。南山大学法学部卒業後、中央三井信託銀行、三菱UFJ投信などを経て、現在は株式会社きのしたてるのぶ事務所代表取締役。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。著書『日経新聞の裏を読め』(角川SSコミュニケーションズ)発売中。
投資脳のつくり方
マネー誌「マネージャパン」ウェブコンテンツ。ファンドマネジャー、アナリストとして1,000社以上の上場企業訪問を経験した木下晃伸が株式投資のヒントを日々のニュースからお伝えします。「株式新聞」連載をはじめ雑誌掲載多数。